「このまま今の会社にいていいのか」
「転職すべきか、それとも現職に残るべきか」
こうした悩みを持つ20〜30代のビジネスパーソンは少なくありません。
私自身、30歳を目前にしてキャリアの方向性に迷い、最終的には異業種への転職という選択をしました。その過程では、転職エージェントのアドバイスだけでなく、書籍からの学びが大きな判断材料となりました。
世の中には転職に関する本が多数ありますが、この記事では、実際に私が読んでよかったと感じた書籍の中から、転職に悩む人に役立つ5冊を厳選して紹介します。
- 転職活動を始める前に考えを整理したい
- キャリア設計の基本的な考え方を学びたい
- 現職に留まるべきか判断する基準が欲しい
そんな方にとって、行動のヒントや視野を広げる材料になる本ばかりです。
転職に関する本を探している方に向けて、実体験に基づいたおすすめ書籍を紹介していきます。
転職の思考法

概要
『転職の思考法』は、「今の仕事をこのまま続けていて本当にいいのか?」と悩むすべての人に向けた、“転職における軸”を持つための思考トレーニング本です。
本書は物語形式で展開され、主人公は30代のサラリーマン・青野。
特別な専門性や経験もなく、このまま会社に居ても将来性はなし。
転職は頭にあるけど、どうすればいいか分からない。勇気も出ない。
そんな主人公がコンサルタントに出会って、「人生を自分で選ぶ力」を身に着けていくというストーリーです。
読み進めるうちに、「自分の市場価値とは?」「辞めるべきタイミングとは?」「今のキャリアはどう評価されるのか?」といった疑問がクリアになっていく構成です。すぐに転職する気はなくても、社会人であれば一度は読んでおきたい一冊です。
刺さった言葉・内容
『転職の思考法』には、キャリアに悩む人の心に突き刺さるフレーズがいくつも登場します。特に印象的なのは以下のような言葉です。
- 転職を阻害するのは、現実的な危険性ではなく、ほとんどが見栄か恐怖。
- 選択が失敗かどうかは、事後的にしか分からない。だからこそ
失敗につながる唯一の条件は「覚悟を決めるべきときに覚悟を決められないこと」 - マーケットバリュー(市場価値)と給料は、長期的には必ず一致する。
- 人には自分に合った「緊張と緩和のバランス」が常に存在する。
緩和だけが多くなった晩年の暮らしが幸せだとは限らない。
また、ストーリーの中で描かれる「転職していく人たち」と「現状にしがみつく人たち」の違いを読むうちに、読者自身の将来を客観的に見つめる視点が自然と養われていきます。
こんな人におすすめ
『転職の思考法』は、次のような悩みを抱える方に特におすすめです:
- 「このまま今の会社にいていいのか?」と考えたことがある人
- 転職経験がなく、何から手を付けていいかわからない人
- 自分のキャリアプランを見つめ直したい人
- 長期目線で、市場価値の高い人材になるための考え方を知りたい人
専門知識がなくても読みやすく、内容の理解もしやすい構成です。読了後には「転職する・しないに関わらず、自分の働き方に軸ができる」という実感を持てるでしょう。
気になった方はこちらからどうぞ:
LIFE SHIFT(ライフ・シフト)

概要
『LIFESHIFT(ライフ・シフト)』は、「人生100年時代」という前提から、これからの働き方・学び方・お金の使い方・人間関係の築き方までを根本から問い直す、キャリア設計のバイブルとも言える一冊です。
著者は、ロンドン・ビジネススクール教授のリンダ・グラットン氏と経済学者のアンドリュー・スコット氏。彼らは「人生が長くなるということは、今の働き方や常識が通用しなくなることを意味する」と説きます。
たとえば、かつての人生は「教育 → 仕事 → 引退」という“3ステージ制”でしたが、今後は「学び直し」「副業・転職」「再定義された家族観」などが入り混じる“マルチステージの人生”になるとされています。
この変化に対応するために必要なのが、「無形資産」――たとえばスキル、人間関係、健康、好奇心。本書は、キャリアや転職を「目の前の課題」としてだけでなく、人生全体の戦略としてとらえる視点を与えてくれます。
刺さった言葉・内容
『LIFESHIFT』は理論書でありながら、読者の価値観に静かに、でも深く訴えかけてきます。特に印象的な内容や言葉を一部紹介します:
- 長寿化は贈り物ではあるが、それを活かせるかはあなた次第だ
- 自問すべきなのは、『70~80歳になったときの私は、いま私がくだしている決断を評価するだろうか?』という問いだ。
- 生涯を通しての幸福を生む最大の源は、煎じ詰めれば、無形の資産、つまり家族や友人との関係、それに好奇心や情熱なのだと肝に銘じておこう。
こうした言葉からは、「転職」という出来事をきっかけに、人生全体をどう設計するかを見直す必要性が伝わってきます。
こんな人におすすめ
『LIFESHIFT』は以下のような人に特におすすめです:
- 転職に悩んでいるが、そもそも「この先の人生をどう生きたいか」が定まっていない人
- 「今の会社を辞めてもまた同じ悩みが出そう」と感じている人
- キャリアだけでなく、ライフスタイル・学び・人間関係まで含めて見直したい人
- 一度きりの転職でなく、何度でも変化していく働き方を視野に入れたい人
転職やキャリアの悩みを、“自分の人生全体の中でどう位置づけるか”を考えたい方にとって、一段階上の視点を与えてくれる一冊です。
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科学的な適職

概要
『科学的な適職』は、「自分に向いている仕事は何か?」「本当にやりたいことがわからない」といった悩みに対して、最新の心理学・行動経済学・キャリア研究をもとに“科学的に”答えを導くキャリア選択の実践書です。
著者の鈴木祐(すずき・ゆう)氏は、科学論文を読み解き日常に応用するスタイルで知られるサイエンスライター。本書では、4000以上の研究論文と20冊以上の専門書をもとに、「幸せに働く条件とは何か?」を徹底分析しています。
本書の特徴は、「向いている仕事の見つけ方」といった漠然としたテーマを、以下のような明確な判断基準に落とし込んでいる点です:
- 「幸福度が上がる仕事の7つの徳目」
- 「避けるべき8つの悪条件」
- 「ミスマッチを防ぐためのチェックリスト」
自分の直感や周囲の意見に流されるのではなく、データに基づいた冷静な職業選びをサポートしてくれる一冊です。
刺さった言葉・内容
この本が読者に突きつけるのは、「キャリアは感情や勘ではなく、再現性のある法則で選べる」という新しい価値観です。特に印象的なポイントは以下の通りです:
- その仕事に情熱を持てるかどうかは、
あなたが人生で注いだリソースの量に比例する。 - 「好きなこと」だけを軸に仕事を選んでしまうと、面倒ごとが起こった際に
「本当はこの仕事が好きでないのかも」との疑念に取り付かれ、
モチベーションが大きく上下する。 - 給料と仕事の満足度はほとんど相関がない。
「金で幸せは買えない」は科学的にまぎれもなく真実。 - 「作業の内容をどれぐらい自分の意志で決められるか?」は仕事の満足度を
大きく左右する。「自由」ほど仕事の幸せを左右する要素はない。
また、書籍内には「チェックリスト」や「ワーク形式の診断」も多数掲載されており、読んで終わりではなく、行動につながる構成になっています。
こんな人におすすめ
『科学的な適職』は、次のような人に特におすすめです:
- 統計的・客観的な判断基準で適職を見つけたい人
- 感情に流されず、納得感のある転職判断をしたい人
- やりたいことが見つからず、転職に踏み出せない人
- 転職でのミスマッチや後悔をできる限り避けたい人
キャリア選択において「気分」や「世間体」ではなく、科学的な根拠に基づいて決めたいという方に向けた、極めて実用的な内容です。
気になった方はこちらからどうぞ:
転職と副業のかけ算

概要
『転職と副業のかけ算』は、著者であるmoto氏が、年収240万円の地方企業から30代で年収5000万円超に到達した実体験をベースにした、キャリア構築の実用書です。
本書では、会社員であることの安定性と、副業による収入・経験の多様化をかけ合わせることで、「会社に依存せず、個人で稼ぐ力を持つサラリーマン」という新しいキャリアモデルを提案しています。
特に重要な考え方として、以下の点が解説されています:
- 転職は「職種」か「業界」のいずれかを年収の高い方向にずらす「軸ずらし」が有効
- 副業はスキル習得と実績づくりの場と捉え、本業と相互に活かし合う
- 市場価値を高めることで、選ばれる側から選ぶ側に転換できる
転職のタイミング、副業の始め方、成果の出し方など、具体的な行動指針が豊富に含まれており、再現性のあるキャリア構築法として実用性が高い内容となっています。
刺さった言葉・内容
本書には、会社に依存しない生き方を目指す人にとって印象的なフレーズがいくつも登場します:
- 仕事に慣れると「すぐにできる仕事」ばかりしがちになるので要注意。
やったこがない仕事にも挑戦し、成果を出す事が
次のキャリアに進む上で大切な姿勢。 - 今の職場で成果を出せており、かつ仕事が楽しいと感じるタイミングほど、
転職のベストタイミング。 - 本業を活かして副業に取り組み、副業で得た知識をさらに本業に活かす。
この相互作用によって個人の市場価値を高めていくことが、
副業をする最大のメリット。 - 年収は「職種×業界」で大枠が決まる。転職で年収を上げるには、
この2つのどちらかを「年収の高い職種」or「年収の高い業界」にずらすのが近道。
また、moto氏自身が5回の転職を通じて語る「転職で失敗しないためのポイント」も非常に実践的で、キャリアに悩むビジネスパーソンにとって大きなヒントになります。
こんな人におすすめ
『転職と副業のかけ算』は、以下のような悩みや目標を持つ方に強くおすすめできる一冊です:
- 今の会社では収入やキャリアに限界を感じている人
- 転職に興味はあるけれど、いきなり辞める勇気がない人
- 副業を始めたいが、何から手をつけていいかわからない人
- 本業+副業で生涯年収を最大化したい人
本書は、“やる気があるけど、行動に移すきっかけがつかめない”という人に、現実的な「最初の一歩」を提示してくれる本です。
気になった方はこちらからどうぞ:
”好き”を仕事にできる人の本当の考え方

概要
『”好き”を仕事にできる人の本当の考え方』は、「好きなことを仕事にできたらな…でも、そもそも“好き”がわからない」という悩みに、現実的で前向きな答えをくれる自己啓発書です。
著者の岡崎かつひろ氏は、これまでに10万人以上の人に講演を行い、数々の起業支援・人材育成を手がけてきた人物。本書では、「やりたいことが見つからない」「今の仕事にやりがいを感じない」といった悩みに対し、“好きを仕事にする”という言葉の真の意味を丁寧にひも解いていきます。
内容のポイントは次の3つです:
- 「好き」は最初から見つけるものではなく、取り組む中で育てるものである
- 工夫や視点の転換によって、どんな仕事でも面白さを見いだすことができる
- 完璧を求めるより、小さな行動を継続することで将来の選択肢が広がっていく
つまり、「好きな仕事に出会えないから動けない」のではなく、“今ある環境での工夫や視点の変え方”によって人生が変わるということを、数多くの具体例を交えて伝えてくれます。
刺さった言葉・内容
本書には、悩める読者を肯定し、前を向かせてくれるフレーズも多く登場します。印象的だったものは次のような言葉です:
- 「やらなきゃいけない」となると、好きなことも苦痛になる
- どんな仕事だって、できないうちはつまらない。
でも、できるようになったら楽しくなる。 - しっかりと力がついたと胸を張れるくらい、目の前の仕事に一生懸命取り組む。
そういった姿勢があってこそ、初めてスキルが身に付く。 - 他人との比較で自分の幸せを決めると、上には上がいるから疲れる。
幸せは、自分軸で決めるのが良い。
これらの言葉は、「仕事がつまらないのは環境のせいだ」と考えている人に対し、思考と行動を変えることで現状を前向きに捉え直す視点を与えてくれます。
こんな人におすすめ
『好きを仕事にできる人の本当の考え方』は、次のような悩みを持つ方に適しています:
- 「やりたいこと」「好きなこと」が見つからない人
- 今の仕事にモチベーションが持てず、「このままでいいのか」と悩んでいる人
- 仕事がつまらなく「仕事選びに失敗したかも」と思っている人
- 理想と現実のギャップに苦しんでいる20〜30代
理想の仕事に出会うよりも、今ある選択肢の中で“意味づけ”を変えることで満足度を高めるという視点は、転職を前提としないキャリア形成にも活用できます。
気になった方はこちらからどうぞ:
まとめ
転職に悩んだとき、「誰かに相談する」「求人サイトを見てみる」といった行動も大切ですが、自分の考え方や価値観を整理するためには、書籍から得られる情報や視点も非常に有効です。
本記事では、実体験に基づいて「転職 おすすめ 本」として、次の5冊を紹介しました:
- 転職の思考法|転職の是非を論理的に判断するためのフレームが得られる
- LIFESHIFT|人生100年時代におけるキャリア戦略の基礎を見直せる
- 科学的な適職|感情に左右されず、自分に合った仕事を選ぶ視点が得られる
- 転職と副業のかけ算|収入と市場価値を高めるための具体的な行動が学べる
- “好き”を仕事にできる人の本当の考え方|迷いの中でも前向きに進むための思考が身につく
どの本も、単なるノウハウではなく、「転職すべきか」「どのような働き方を選ぶべきか」という本質的な問いに対して、自分自身の答えを導き出すきっかけを与えてくれる内容となっています。
転職は人生の中でも大きな決断の1つですが、本を通じて自分の思考を深めておくことで、後悔の少ない選択につながります。
気になる本があれば、まずは1冊から手に取ってみてください。
考えを整理し、選択肢を増やすことが、納得できるキャリア形成への第一歩になります。