エアーの圧力を落としたい時、圧力を安定化させたい時には
減圧弁(レギュレーター)を使います。
今回は、減圧弁の内部構造はどうなっているのか、
どういう仕組みで減圧されるのかを詳しく解説します。
減圧弁とは
減圧弁(レギュレーター)とは名前の通り、
エアーなどの流体の圧力を下げる機器です。
使用目的は主に以下の2つです。
- 下流側の機器の必要圧力に合わせて、圧力を落とす
- 落とした圧力で保持し、機器の動作を安定化させる
設置場所は一般的に、
フィルターの下流側、かつルブリケーターの上流側です。
減圧弁は内部構造が複雑なため異物やオイルに弱いので、
フィルターで異物を除去した後、かつルブリケーターでオイルが混ざる前に設置します。
ちなみに、減圧弁は圧力を上げる方向には調整できないのでご注意ください。
圧力を上げたい時は「増圧弁」を使います。詳細は別の記事で解説しています。
エアーの圧力を上げる時には「増圧弁」を使います。 増圧弁はコンプレッサーと違って電源が不要なため、簡単にエアーの圧力を上げることができる便利な機器です。 本記事では増圧弁の内部構造と、増圧される仕組みを詳しく解説します。 […]
減圧弁の仕組み
内部構造
減圧弁の内部構造は大まかに、以下の図のようになっています。
![減圧弁の内部構造](https://planteng-tree.com/wp-content/uploads/2022/03/8d43cc61ed7f985ec4e0f04531fb6f7a-2.jpg)
各構成要素の役割を簡単にまとめます。
- 調圧ハンドル:調圧バネがダイヤフラムを押す力を調整する
- 調圧バネ:ダイヤフラムを下に押す
- リリーフポート:2次側の圧力が上がり過ぎた際に、不要なエアーを排出する
- ダイヤフラム:弁体に力を加えて、弁体の開閉を制御する
- 弁体:ダイヤフラムと連動し、流路を開閉する
- 弁バネ:弁体の動作を安定させるため、常に弱い力で押しておく
作動原理
減圧される仕組みを解説します。
ポイントは、ダイヤフラムを「調圧バネの力」VS「2次側の圧力」で
常に押し合っている事です。
調圧バネの力が勝つと弁体が開いてエアーが流れ、
2次側の圧力が勝つと弁体が閉じてエアーが止まります。
動作の順番に沿って説明します。
閉止状態(初期状態)
![減圧弁が閉止の状態](https://planteng-tree.com/wp-content/uploads/2022/03/941925534b9ad234803a58d4a5ba541f.jpg)
調圧ハンドルを回していない初期状態です。
ダイヤフラムを下に押す力が無いので弁体が開かず、
エアーは2次側には流れません。
調圧ハンドルを回すと、エアーが2次側に流れる
![減圧弁の仕組み](https://planteng-tree.com/wp-content/uploads/2022/03/0bc1f61b42b2d19bf786210024438a51.jpg)
調圧ハンドルを回し、調圧バネでダイヤフラムを下に押します。
ダイヤフラムが下に押されると弁体も下に押され、
流路が開いてエアーが2次側に流れます。
このとき、2次側エアーの一部がダイヤフラムのある小部屋に入り込み、
ダイヤフラムを上に押します。
2次側の圧力が低い間は、
ダイヤフラムを「エアーが上に押す力」より、
「調圧バネが下に押す力」が勝つので、
弁体は開いたままとなりエアーは流れ続けます。
2次側の圧力が設定圧以上になると、閉止する
![減圧弁の仕組み](https://planteng-tree.com/wp-content/uploads/2022/03/7faf161f6c6ea18d9165e7e5481a0727.jpg)
減圧弁以降のエアーの消費量が減ると、2次側の圧力が上がってきます。
2次側の圧力が設定圧に達すると、
ダイヤフラムを「エアーが上に押す力」が勝ち、
弁体が閉じてエアーの流れが止まります。
これにより、2次側の圧力が設定圧以上にならなくなります。
再び減圧弁以降のエアー消費量が増えると、2次側の圧力が下がり、
ダイヤフラムを調圧バネが下に押す力が勝って、弁体が開きます。
2次側の圧力が上がり過ぎると、不要なエアーが大気開放される
![減圧弁の仕組み](https://planteng-tree.com/wp-content/uploads/2022/03/b595541f3be189ba8bedd1cab3baecd0-1.jpg)
エアーの逆流などにより2次側の圧力が上がり過ぎると、
ダイヤフラム中央の隙間が開いてエアーが逃げ、
リリーフポートから大気開放されます。
まとめ
減圧弁の仕組みを解説しました。
ポイントをまとめると次の通りです。
- 減圧弁は2次側の圧力を落としたい時、落とした圧力で安定化させたい時に使う
- 減圧弁の内部では、ダイヤフラムを「調圧バネの力」VS「2次側の圧力」で
常に押し合っている - 調圧バネの力が勝つと弁体が開いてエアーが流れ、
2次側の圧力が勝つと弁体が閉じてエアーが止まる
ぜひ参考にしてください。