【解説】差圧式流量計とは?種類と特徴まとめ

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流量を測定する機器の一つに「差圧式流量計」があります。

差圧式流量計にはオリフィス流量計、ベンチュリ管流量計、フローノズル流量計などの種類があり、用途によって使い分けられます。

本記事では差圧式流量計の選定材料として、それぞれの特徴を解説・比較していきます。

差圧式流量計とは?

「差圧式流量計」とは管路の途中に絞り機構を設けて、絞る前後の差圧から流量を算出する測定機器です。「絞られた箇所は流速が速くなる代わりに圧力が下がる」というベルヌーイの定理を利用しています。

測定原理がシンプルな事と、可動部品が無く保守が容易なことから、プラント設備など広く利用されています。

測定原理

差圧式流量計の中で最も多く使われるオリフィス流量計の例で説明します。基本原理はどれも同じです。

差圧式流量計の測定原理

ベルヌーイの定理より、絞る前後でエネルギーの総和(運動エネルギー+圧力エネルギー+位置エネルギー)は保存されます。

ただし絞った箇所では流速が速くなりますから、運動エネルギーと圧力エネルギーの配分は変わります。(流路は水平なので位置エネルギーは同じとします)

この「配分の差」に着目し、絞る前後の差圧から流速・流量を算出します。
非常にシンプルですが、これが差圧式流量計の基本原理です。

ベルヌーイの定理についてについては別の記事で詳しく解説しています。

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代表的な差圧式流量計

オリフィス流量計

オリフィスとは

オリフィスとは管路の途中に設けられた「流体が通過する小さな孔」のことす。そのような孔が空いた薄い板をオリフィスプレートと言い、流量計として使うものを「オリフィス流量計」と言います。

圧力損失が大きい等のデメリットはありますが、構造がシンプルで安価というメリットが大きく、プラント設備では最も多く使われる流量計です。

メリット

  • 構造がシンプルなので製作・保守が容易
  • 安価

デメリット

  • 圧力損失が大きい
  • オリフィス内径のエッジが摩耗するので固形物に弱い
  • 上流は内径の5~80倍程度、下流は4~8倍程度の直管が必要なことから、
    配管レイアウトに制限が出る

オリフィス流量計での流量計算方法・機器の特徴については、別の記事で詳しく解説しています。

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ベンチュリ管流量計

ベンチュリ管とは何か

縮小管と拡大管を繋ぎ合わせた構造をしています。

ベルヌーイの定理を理解する題材として、流体力学の授業や資格試験などにもよく登場します。

メリット

  • 管径の変化が緩やかなので圧力損失が小さい
  • 詰まりが起きにくく、固形物に強い

デメリット

  • 製作が難しく許容誤差が小さい
  • 高価
  • 本体が大きく、前後に5~10倍の直管が必要なことから、
    配管レイアウトに制限が出る

ベンチュリ管流量計での流量計算方法・機器の特徴については、別の記事で詳しく解説しています。

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フローノズル流量計

フローノズル流量計とは

下流側にノズルの吐出口を向けた構造をしています。

オリフィス流量計とベンチュリ管流量計の中間のような特徴を持った流量計です。

メリット

  • 圧力損失が比較的小さい(ベンチュリ管よりは大きい)
  • 詰まりが起きにくく、固形物に強い

デメリット

  • 比較的高価(ベンチュリ管よりは安い)
  • 製作が難しく許容誤差が小さい

流量の計算方法・測定原理は他の差圧式流量計と同じです。

差圧式流量計の特徴を比較

上で紹介した差圧式流量計の特徴を表にまとめます。

差圧式流量計の種類と特徴を比較表でまとめる

  

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まとめ

差圧式流量計の測定原理、種類、特徴を解説しました。

ポイントをまとめます。

  • 「差圧式流量計」とは管路の途中に絞り機構を設けて、絞る前後の差圧から流量を算出する測定機器。
  • 「絞られた箇所は流速が速くなる代わりに圧力が下がる」というベルヌーイの定理を利用している。
  • 代表的な差圧式流量計は以下:
    オリフィス流量計(安価だが圧力損失が大きい)
    ベンチュリ管流量計(高価だが圧力損失が小さい)
    フローノズル流量計(オリフィス、ベンチュリ管の中間のような特徴を持つ)

皆様の参考になれば幸いです。

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