【図解】増圧弁とは?増圧される仕組みを解説

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エアーの圧力を上げる時には「増圧弁」を使います。

増圧弁はコンプレッサーと違って電源が不要なため、
簡単にエアーの圧力を上げることができる便利な機器です。

本記事では増圧弁の内部構造と、増圧される仕組みを詳しく解説します。

増圧弁とは

エアーの圧力が足りず増圧させたい時は、状況に応じて
「コンプレッサー」か「増圧弁」のどちらかを使用します。

コンプレッサーは大流量を扱える一方で、電源が必要になります。
流量が比較的少ないときや電源工事が手間なときは、
機械的に増圧できる増圧弁の方が便利です。

増圧弁の特徴をまとめると以下の通りです。

  • 電源が不要で機械的に増圧可能
  • 供給圧力の最大2倍まで増圧可能(ハンドルで調整できる)
  • 供給エアーの約半分を排気する仕組みなのでエネルギーロスがある
  • 増圧したエアーの吐出量が少ないので、二次側にエアータンクが必要
  • 装置の寿命は設置期間ではなくピストンの往復頻度で決まる
  • 動作中はピストンが往復する「シュポ、シュポ」という音が聞こえる

ちなみに、増圧弁は圧力を下げる方向には調整できないのでご注意ください。
圧力を下げたい時は「減圧弁」を使います。詳細は別の記事で解説しています。

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増圧弁の仕組み

増圧弁の内部構造と増圧される仕組みを解説します。

内部構造

増圧弁の内部構造は大まかに、以下の図のようになっています。

増圧弁の内部構造

各構成要素の役割を簡単にまとめます。

  • 調圧ハンドル:ガバナの開度を調整する
  • ガバナ(調圧バルブ):駆動室A,Bに送る圧力を調整する
  • チェック弁:エアーを片方向にのみ流し、逆方向の流れは止める
  • 増圧室A,B:エアーの充填と圧縮を行う
  • 駆動室A,B:ピストンの駆動力を与える
  • 切換バルブ:駆動室A,Bのどちらにエアーを送るか制御する
  • ピストン:駆動室の圧力を使い、増圧室のエアーを圧縮する
  • ピストンロッド:左右のピストンの動きを同期させる
  • フィードバック流路:出口の圧力をガバナに伝えて開度を調整する

作動原理

増圧される仕組みを解説します。

ポイントは、動作中は常にピストンが左右に往復しており、
増圧室A,Bのエアーを交互に圧縮して出口に送っている事です。

ピストンの左右の動きは、切換バルブで駆動室A,Bのどちらに
エアーを送るかで制御されています。

それでは動作の順番に沿って解説します。

エアーを増圧室に充填する

増圧弁の仕組み

エアーが入口からチェック弁を通って増圧室A,Bに流入します。

増圧弁Aのエアーはピストンを左に押し、
増圧室Bのエアーはピストンを右に押しますが、
同じ圧力と断面積なので、このままでは力はつり合います。

次にガバナを通ったエアーが切換バルブを経て駆動室Bに流れると、
ピストンを左に押す力が勝ち、ピストンが左に動き出します。

駆動室Bと増圧室Aの圧力でピストンを左に動かす

増圧弁の仕組み

駆動室Bと増圧室Aの圧力でピストンが左に動くことにより、
増圧室Bのエアーが圧縮されます。

圧縮されたエアーは各チェック弁の働きにより、
入口側に逆流したり増圧室Aに流入すること無く、
出口に送られます。

ピストンは切換バルブを押すまで左に動き続けます。
その間、増圧室Aではエアーが充填され、
駆動室Aのエアーは切換バルブを経て排気されます。

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切換バルブが押されて、駆動室A,Bの行きの流路が逆転する

増圧弁の仕組み

左端まで動いたピストンが切換バルブを押すと、
駆動室A,B行きの流路が逆転します。

今度は駆動室Aに入口のエアーが流れてピストンが右に動き出します。

駆動室Aと増圧室Bの圧力でピストンを右に動かす

増圧弁の仕組み

先ほどと左右対称の動作となります。

駆動室Aと増圧室Bの圧力でピストンが右に動くことにより、
増圧室Aのエアーが圧縮され出口に送られます。

ピストンは切換バルブを押すまで右に動き続けます。
その間、増圧室Bにエアーが充填され、
駆動室Bのエアーは切換バルブを経て排気されます。

ピストンが再び切換バルブを押すと最初の状態に戻ります。
このようなサイクルを繰り返すことにより、
連続的にエアーが圧縮されます。

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まとめ

増圧弁の内部構造と、増圧される仕組みを解説しました。

ポイントをまとめると以下の通りです。

  • 増圧弁は少量のエアーを増圧させたい時に使う
  • 電源は必要とせず、機械的に増圧できる
  • 内部でピストンが左右に動き、連続的にエアーを圧縮している

切換バルブを上手く使って機械的に増圧する仕組みを最初に考えた人は
とても頭が良いですね。

ぜひ参考にしてください。

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