水やエアーを噴き付ける際は、配管の末端にスプレーノズルを取り付けます。
設備の必要能力を満たすためには、選定したノズルから
どれだけの吐出流量が出るかを事前に把握する事が必要です。
本記事ではノズルの吐出流量の計算方法と、
配管圧損との関係を解説します。
ノズルの流量特性
ノズルの流量特性は各メーカーのカタログに載っていますが、
大まかに以下のような形をしています。
$$Q\propto\sqrt{P}$$
例えば流量\(Q\)を2倍にしたい時は、
ノズル直近の圧力\(P\)を4倍にする必要があります。
吐出流量を計算するには、ノズル直近の圧力を知る事が必要です。
ノズル直近の圧力の計算方法
例として以下のような設備を考えます。
ノズル直近の圧力\(P_b\)は、ポンプ吐出圧力\(P_a\)から実揚程\(H_a\)と圧力損失\(P_L\)
を引いた値となります。
配管径が決まっているとき、圧力損失\(P_L\)は流量の2乗に比例して大きくなるので、
ノズル直近の圧力\(P_b\)と流量\(Q\)の関係は以下のようになります。
\(P_0,Q_0\)はそれぞれ、ノズルの圧力と流量の基準値(代表値)です。
先ほど説明した通り\(Q\propto\sqrt{P}\)の関係があるので、
ノズル直近の圧力が\(P_1\)だったときの流量\(Q_{1n}\)は次のように計算できます。
$$Q_{1n}=Q_0\sqrt{\frac{P_1}{P_0}}$$
ここで計算された\(Q_{1n}\)が先ほど仮置きした流量\(Q_{1}\)と一致すれば、
配管の圧力損失とノズル直近の圧力のつじつまが合う事になり、
設備全体として流量は\(Q_{1n}(=Q_1)\)流れます。
ただし大体の場合、最初から\(Q_{1n}\)と\(Q_{1}\)は一致せず、
流量は結局いくらになるのか?と混乱します。
ノズルの吐出流量の計算方法
ノズルまでの圧力損失も考慮して吐出流量を正しく見積もるためには、
下の図のように、「ノズル直近の圧力のグラフ」と「ノズルの流量特性のグラフ」を
重ね合わせて考える必要があります。
ここで2つのグラフのX,Y軸をそろえるために、
ノズルの流量特性はX,Y軸が先ほどと反転して書かれている事に注意してください。
上の図において流量が\(Q_{2}\)のとき、ノズル直近の圧力と、
ノズルが\(Q_{2}\)を出すのに必要な圧力が\(P_{2}\)で一致します。
従って2つの曲線の交点で設備が稼働し、
この時の流量\(Q_{2}\)がノズルの吐出流量となります。
\(Q_{2}\)の数値は、2つのグラフを手書きやExcelで重ね書きするか、
ノズル直近の圧力とノズルの必要圧力が一致するまで
流量を振って計算することで求める事ができます。
まとめ
ノズルの吐出流量の計算方法と、配管圧損との関係を解説しました。
ポイントをまとめます。
- ノズルの吐出流量は、ノズル直近(根元)の圧力の0.5乗に比例する
- ノズル直近の圧力は、実揚程と配管圧損分だけ、元圧(ポンプ吐出圧)から下がる
- 元圧から下がった後の圧力と、ノズルの必要圧力が釣り合う流量が全体に流れる
皆様の参考になれば幸いです。